飛行機の中で束の間の通訳体験

英語が好きで英会話教室に通ったりそれなりに勉強はしたものの、海外旅行で列車に乗ったり、道を聞いたりするくらいなら何とかなる、というレベルです。通訳をするほど英語ができるわけではありませんが、1度だけ、旅行中に通訳もどきをしたことがあります。

それは友達と一緒にツアーに参加したアメリカ旅行でのこと。サンフランシスコからラスベガスへと移動する飛行機の中です。乗客の半数はツアー参加の日本人で、すぐ横に60歳近いと思われる男性が座っていました。ドリンクサービスが始まると、その方はビールを所望。缶ビールを持ってきたスチュワーデスが「ビールは5ドルになります」と手渡すと、男性は「サンキュー」と上機嫌で受け取り、ビールが別料金であることに全く気付いていないようでした。スチュワーデスは「サー、ビールは5ドルです」と繰り返し、男性は「サンキュー」を繰り返すばかり。横にいた私は見かねて、「ビールは5ドルかかるそうですよ」と声をかけました。男性はようやく状況を把握して慌てて財布を取り出し、スチュワーデスは私に微笑みかけました。

見知らぬ人のために、束の間通訳もどきをしたことも、今では旅の思い出となっています。

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